退職後の生活費と失業給付|30代の日額・給付日数・給付制限を計算
退職してから次の仕事を探すなら、退職日から次の給与日までの生活費は、まず自分の貯えで埋める前提で見積もります。自己都合で辞めた場合、雇用保険の基本手当は、受給手続きの後7日間の待期と原則1か月の給付制限が過ぎるまで支給されません。
在職したまま次の仕事を決めれば、この空白は生じません。この記事は、先に辞める場合に「いつから、いくら、何日分」を公式資料の数字で確かめるためのものです。給付を受けられるか、どの離職理由に当たるかは、住居地を管轄するハローワークが決めます。
基本手当が振り込まれるまでの日数
受給資格は、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることです。倒産・解雇等で離職した人(特定受給資格者)や、期間の定めのある契約が更新されなかったなどやむを得ない理由で離職した人(特定理由離職者)は、離職前1年間に通算6か月以上で足ります。
| 段階 | 公式資料に書かれていること |
|---|---|
| 退職から離職票まで | 会社は、被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に資格喪失届をハローワークへ出す(雇用保険法施行規則第7条)。離職票はその後に届く |
| 受給手続き | 住居地を管轄するハローワークで求職の申込みをし、離職票を出す。ハローワークが受給資格を決める |
| 待期 | 失業の状態にある7日間は支給されない |
| 給付制限 | 正当な理由のない自己都合退職は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月(3月31日以前は原則2か月)。過去5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けている場合と、重責解雇は3か月 |
| 認定日と振込 | 原則4週間に1回の認定日に、前回の認定日から今回の認定日の前日までの失業の認定を受けて支給。給付制限がある人は、給付制限が終わった後の認定日から支給される。振込は認定日の約7日後 |
自己都合退職で給付制限が1か月の場合の目安
- 受給手続きの日求職の申込みと離職票の提出受給資格はハローワークが決める。離職票が届くまでの日数はこの前にかかる
- 最初の7日間待期失業の状態にある7日間は支給されない
- 約5週間後給付制限が終わる退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月
- 約8週間後給付制限後の最初の認定日認定日はハローワークが指定するため、実際の日付は前後する
- 約2か月後1回目の振込認定日の約7日後。この回は28日分より少ない
認定日が受給手続きの日から4週間ごとに来るとして計算すると、給付制限が1か月の場合、給付制限が終わるのは受給手続きから約5週間後で、その後の最初の認定日は約8週間後、振込はその約7日後(受給手続きから約2か月後)です。この1回目の振込は、給付制限が終わった日から認定日の前日までの分なので、28日分より少なくなります。認定日はハローワークが指定するため実際の日付は前後し、離職票が届くまでの日数はこの外側です。退職日から2か月半〜3か月は基本手当が入らない前提で、生活費の表を作っておくと計画が崩れにくくなります。
離職日前1年以内に教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練など(2025年4月1日以降に受講を始めたもの)を受けた人や、離職後に受けている人は、ハローワークに申し出ると給付制限が解除される場合があります。申し出には期限があるため、該当しそうなら受給手続きのときに伝えます。
基本手当日額の目安(30〜44歳、2026年8月1日以降)
基本手当日額は、離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金(残業代や手当を含み、賞与は除く総支給額)の合計を180で割った「賃金日額」に、給付率を掛けて決まります。給付率は離職時の年齢と賃金日額で50〜80%(60〜64歳は45〜80%)です。厚生労働省のリーフレットによると、2026年8月1日以降、離職時の年齢が30〜44歳の人の計算は次のとおりです。
- 賃金日額 3,203円以上5,480円未満: 給付率80%
- 5,480円以上13,490円以下: y=0.8w−0.3{(w−5,480)/8,010}w(w=賃金日額、y=基本手当日額)
- 13,490円超16,540円以下: 給付率50%
- 16,540円超: 上限額の8,270円
この式に、離職前6か月の月給が毎月同じだった場合の金額を当てはめたのが次の表です。1円未満は切り捨てています。28日分は、認定日1回分(4週間)にあたる額の目安です。
| 離職前6か月の月給(賞与除く) | 賃金日額 | 基本手当日額 | 28日分 | 90日分 |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 6,666円 | 5,036円 | 141,008円 | 453,240円 |
| 25万円 | 8,333円 | 5,775円 | 161,700円 | 519,750円 |
| 30万円 | 10,000円 | 6,307円 | 176,596円 | 567,630円 |
| 35万円 | 11,666円 | 6,629円 | 185,612円 | 596,610円 |
| 40万円 | 13,333円 | 6,744円 | 188,832円 | 606,960円 |
| 45万円 | 15,000円 | 7,500円 | 210,000円 | 675,000円 |
| 50万円 | 16,666円 | 8,270円(上限) | 231,560円 | 744,300円 |
離職前6か月の月給別の基本手当日額(30〜44歳)
同じ計算を2025年8月1日改定の式(厚生労働省、2025年7月22日発表)で行うと、月20万円で28日分が139,776円(賃金日額6,666円、日額4,992円)、月30万円で173,796円になり、厚生労働省のQ&Aにある例(月20万円で月額13.9万円程度、月30万円で17.3万円程度)と同じ水準になります。賃金日額5,480〜13,490円(月給にして約16.4万〜40.5万円)の範囲では、賃金が高いほど給付率が80%から50%へ下がるため、月給が増えても日額の伸びは小さくなります。表では月給35万円から40万円に増えても、日額は115円しか増えません。
上限額は離職時の年齢で決まります。2026年8月1日以降は29歳以下7,450円、30〜44歳8,270円、45〜59歳9,110円、60〜64歳7,830円、下限は全年齢2,562円です。29歳と30歳で違いが出るのは、賃金日額が14,900円(月給にして約44.7万円)を超える人だけです。
所定給付日数は、30〜34歳と35〜44歳で違う場合がある
何日分を受け取れるかは、離職理由、被保険者だった期間、離職時の年齢で決まります。自己都合退職を含む一般の離職者は、年齢に関係なく次の日数です。
| 被保険者だった期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 一般の離職者(全年齢) | 90日 | 120日 | 150日 |
倒産・解雇等による特定受給資格者と、一部の特定理由離職者は、年齢区分ごとに日数が変わります。30代は35歳を境に区分が分かれます。一部の特定理由離職者がこの表の日数になるのは、離職日が2027年3月31日までの場合に限られます。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
上の日額の表と組み合わせると、たとえば月給30万円(日額6,307円)で被保険者期間が12年の場合、自己都合なら120日分で756,840円、解雇等で特定受給資格者と認められれば33歳で210日分の1,324,470円、37歳で240日分の1,513,680円になります。どちらに当たるかは離職票の離職理由とハローワークの判断で決まるため、離職票の記載が実際と違うときは、受給手続きのときにハローワークへ伝えます。
基本手当を受けられる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。手続きが遅れると、所定給付日数を残したまま期間が終わることがあります。
退職後に増える支出:国民年金と健康保険
会社を辞めて次の勤務先に入るまでの間は、厚生年金と勤務先の健康保険から外れます。給与から天引きされていた分を、自分で払う形に変わります。
国民年金。 第1号被保険者への種別変更を、事実があった日から14日以内に市区町村へ届け出ます(国民年金法施行規則第6条の2)。保険料は2026年度(令和8年度)で月17,920円です。失業した人は、離職票や雇用保険受給資格者証のコピーを付けて申請すると、失業した本人の前年所得を審査から除く特例(失業等による特例免除)があります。配偶者と世帯主の前年所得は通常どおり審査されるため、世帯の所得によっては承認されません。
健康保険。 選べるのは、勤務先の健康保険の任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者の3つです。
| 選択肢 | 条件と期限 | 保険料の決まり方 |
|---|---|---|
| 任意継続(協会けんぽの場合) | 退職日までに継続して2か月以上加入。退職日の翌日から20日以内に申出。加入は2年間 | 退職時の標準報酬月額×都道府県の保険料率(子ども・子育て支援金率を含む)。事業主負担分も自分で払うため、退職前の約2倍。標準報酬月額は32万円で頭打ち。40〜64歳は介護保険料が加わる |
| 国民健康保険 | 14日以内に市区町村へ届出(国民健康保険法施行規則第3条) | 世帯の人数や前年の所得などで、市区町村ごとに決まる |
| 家族の被扶養者 | 家族が加入する健康保険の基準による | 本人の保険料負担はなし |
国民健康保険には、解雇・倒産・雇止めなどで離職した人の保険料を軽くする制度があります。新宿区の案内では、離職日に65歳未満で、特定受給資格者又は特定理由離職者と認められた人は、前年の給与所得を100分の30として保険料を計算します。期間は離職日の翌日が属する月から、その翌年度末までです。届出が必要で、雇用保険受給資格者証の離職理由コードで対象かどうかを確かめます。
任意継続は退職前の保険料のおよそ2倍、国民健康保険は前年の所得で決まるため、どちらが安いかは人によって逆になります。退職前に、協会けんぽ(又は加入している健康保険組合)と市区町村の両方で金額を聞いてから選びます。前年の所得をもとにした住民税の納付も、退職後に続きます。
生活費の表に入れる順番
- 退職日から次の勤務先の初回給与日までを月ごとに区切る。
- 支出の行に、家賃・食費・通信費など続く費用と、国民年金17,920円、健康保険(任意継続か国民健康保険か)、住民税、交通費や証明写真などの転職活動費を入れる。
- 収入の行に、最終給与と退職金(ある場合)を入れる。
- 基本手当は「見込み」として別の行にし、受給手続きから約2か月より前の月には入れない。1回目は28日分より少ない額で置き、2回目以降を日額×28日の目安にする。
- ハローワークで受給資格と所定給付日数が決まったら、見込みの行を確定額に置き換える。
雇用保険の手続きの順番は雇用保険の手続きを確認する、契約・年休・書類は退職前の確認順にまとめています。
提示年収だけで次の会社を決めない
生活費の空白を早く埋めたくても、提示年収の額だけで判断せず、賃金の内訳、固定残業代、賞与・手当の条件、通勤費、就業場所と変更の範囲を確認します。求人票で確認する項目は応募前に求人票で確認する労働条件、内定後の照合は労働条件通知書の確認にあります。転職で年収が上がるか下がるかは、職種、地域、賃金の内訳、前職の残業代の割合などで変わり、このサイトでは予測しません。
参考資料(確認日: 2026年10月3日)
- 厚生労働省「Q&A〜労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)〜」: 受給資格、待期、給付制限(2025年4月1日以降の退職は原則1か月)、認定日と振込、受給期間、支給額の例
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「雇用保険の基本手当日額が変更になります〜令和8年8月1日から〜」(PDF): 年齢区分ごとの上限額・下限額と計算式
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更〜8月1日(金)から開始〜」(2025年7月22日発表、別添資料「雇用保険の基本手当日額の変更」): 2025年8月1日改定の計算式(Q&Aの例との照合に使用)
- 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」: 給付制限が解除される教育訓練等と申し出
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
- e-Gov法令検索「雇用保険法施行規則」第7条、「国民年金法施行規則」第6条の2、「国民健康保険法施行規則」第3条
- 日本年金機構「国民年金保険料」「保険料を納めることが、経済的に難しいとき」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「任意継続」
- 新宿区「非自発的失業者の国民健康保険料の軽減について」(最終更新日2025年4月1日): 軽減の内容と期間の例。対象や届出の方法は住んでいる市区町村の案内で確認する
- 退職日から次の勤務先の初回給与日までの月数を数え、毎月の支出を書き出す
- 離職前6か月の賃金から賃金日額を出し、年齢区分の式で基本手当日額の目安を計算する
- 離職理由と被保険者期間から所定給付日数を確認し、待期と給付制限の分だけ受給開始を後ろにずらす
- 国民年金と健康保険の切り替えと保険料を、市区町村と保険者で確認して支出に足す
- ハローワークで受給資格が決まるまで、基本手当を確定した収入として計画に入れない